大企業との「出会い」提供=ベンチャー支援に注力-大手銀行
大手銀行が仲介役となって、有望な技術を持つベンチャー企業と資金力を誇る大企業を結び付ける取り組みが広がっている。事業の拡大につながる「出会い」を提供することで、ベンチャー企業の育成と、製品やサービスの開発に社外の力を生かす大企業の「オープンイノベーション」を支援する。大手行は日銀のマイナス金利政策などで経営環境の厳しさが増す中、新規融資の獲得を含め収益力の向上を目指す。 三井住友銀行は2016年11月、ベンチャー企業と大企業の交流会を開いた。あるベンチャー企業経営者は「小型人工衛星を50個打ち上げる。地球上を毎日見れば、災害発生も予測できる」とアピールし、自社を売り込んだ。 交流会に参加したJR九州は「ベンチャー企業の技術などを活用するオープンイノベーションで、新しい事業の推進につなげたい」(事業開発本部)としている。三井住友銀は15年から同様のイベントを開催。ベンチャー企業を育てることで、将来の融資や株式の新規上場支援などグループ全体のビジネス拡大を狙う。 三菱東京UFJ銀行は、情報技術など先端分野でビジネス展開する中小企業から事業アイデアを募って表彰する審査会を14年に始めた。上位企業には賞金を出すほか、取引先の大企業を紹介する。 りそな銀行は企業の持つ技術を仲介するナインシグマ・ジャパン(東京)と提携。大手メーカーの求める技術を持つ中小企業を取引先の中から探し、ナインシグマを通じて商談につなげる試みを進めている。 みずほ銀行は16年、日産自動車、ファミリーマートなど大手46社と協力し、ベンチャー企業の商品開発や販路拡大を後押しする会員制サービスを始めた。同行は「会員となるベンチャーの支援だけではなく、新しいビジネスを模索する大企業の役にも立てる」(広報室)とし、こうした取り組みに力を入れている。(2017/01/03-15:33)
〔写真説明〕三井住友銀行が開いた交流会で、ベンチャー企業経営者の説明に耳を傾ける参加者=2016年11月24日、東京都千代田区
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