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セミナーインフォ主催、保険募集に関する重要トピックでセミナー、不実告知やリーズビジネス 法的問題が生じる可能性も

2016/09/12 新日本保険新聞
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セミナーインフォ主催のセミナーが8月19日、東京・千代田区の同社で開かれ、村田・若槻法律事務所の足立格弁護士が「保険会社と保険代理店の保険募集プロセスにおける最近の実務的重要トピック」をテーマに講演した。講演で足立氏は、来年6月に施行される改正消費者契約法や保険代理店から保険募集人が移籍する際の顧客情報管理、顧客紹介ビジネスについて法的問題が生じうる論点とその対応方法を解説した。

 改正消費者契約法のなかで保険募集業務に影響を与えうる条項の1つには、事実と異なることを告げる「不実告知」の対象となる重要事項の範囲の拡大があると指摘。現行の消費者契約法では、例えばシロアリがいるとだまして除去用の掃除機を買わせるという場合など、動機で嘘をついても掃除機の商品説明自体に嘘がなければ、消費者契約法上は不実告知に当たらないとされる可能性があるが、改正法では不実告知の対象となる重要事項の範囲が拡大されたことから、足立氏は「保険募集に当てはめると、こういう動機で加入したわけではないと契約者に言われれば不実告知による取り消しを主張されることも考えられなくはない」との見方を示した。

 保険代理店からの役職員の独立や移籍の際の顧客情報の取り扱いについても法的問題が生じやすいとし、移籍する保険募集人と保険代理店との間でのトラブル防止法は、双方で交わす契約によるものと不正競争防止法によるものの2つがあるとした。このうちの双方で交わす契約で取り決めをする場合は競業禁止条項や秘密保持条項、保険募集禁止条項を設ける方法があるとし、各条項で移籍する保険募集人の今後を制限する際は職業選択の自由を制限しないように留意する必要があるとした。

 いわゆるリーズ業者との提携などをはじめとした顧客紹介ビジネスなどの募集関連行為をするうえで図るべき態勢整備は主に3つあると説明。1つは、保険代理店と募集関連行為従事者との間で交わす書面上で、保険募集をしてはいけないという禁止条項を明示的に記載すること。2つめは、募集関連行為従事者がこれらの禁止条項に違反した場合の罰則規定(契約解除など)を記載すること。3つめは、募集関連行為従事者が本当に保険募集をしていないかどうかを顧客にモニタリング(確認)することだとした。

 リーズビジネスが「いわゆるグレーゾーンとして注視されている」と述べた足立氏は、リーズビジネスで提供されるインセンティブの内容や程度によっては「保険募集行為や特別利益の提供等の募集規制の潜脱につながる行為」にあたるとの見方もできるからだと説明。その理由について、リーズ業者が見込客に対してサービス(商品券など)を提供することが特別利益の提供の潜脱ともみなされる可能性があるからだとした。特別利益の提供に該当しないかどうかは、提供サービスの内容と程度が社会相当性の範疇にあるか、そのサービスの使途や範囲や換金性の程度、保険契約者間の公平性を著しく阻害していないか、などから判断すべきだとした。

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