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戦略見直しを加速=日本企業-英のEU離脱正式通告

2017/03/30 株式会社 時事通信社
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英国の欧州連合(EU)離脱の正式通告を受け、同国に拠点を置く日本企業は戦略見直しの加速を迫られる。離脱が事業に与える影響は現時点で見極めにくいことから、各社は英国がEU単一市場から完全に離れる事態も想定し、今後本格化する英国とEUの交渉の推移を慎重に見守る構えだ。  ロンドンの国際金融街「シティー」には、日本から銀行や証券会社が進出。EU加盟国の一つに現地法人(現法)を設立して認可を取得すれば、EU全域で営業が可能になる「単一パスポート制度」を利用し、多くの金融機関が英国を欧州拠点と位置付けてきた。  ロンドン現法でパスポートを取得する大和証券グループ本社は、EU離脱の影響を回避するため、ドイツのフランクフルトを軸に新たな拠点となる現法を設立する検討に入った。  オランダ現法がパスポートを持つ三菱東京UFJ銀行は「不測の事態に備え、(欧州の)顧客サービス維持のために万全の対応を取る」(広報部)と強調する。  製造業では、英国で生産した製品を欧州大陸に輸出する際の関税が高くなる可能性がある。ただ、生産拠点の変更は巨額の投資が必要なだけに容易ではない。  日産自動車は、英国工場でスポーツ用多目的車(SUV)2車種の次期モデル生産を計画。カルロス・ゴーン社長はEU離脱後も競争力を維持できるよう、場合によっては英国政府の支援も必要だとの認識を示している。  トヨタ自動車は、英国工場での生産効率化の設備更新などに2億4000万ポンド(約340億円)の投資を決定。先行きの通商条件が見通せない中で英国での生産を継続する判断を下した。  多くの日本企業にとっては「英国とEUの関係がどうなるのか分からない」(ソニー)というのが悩み。当面は情報収集などに注力する日々が続きそうだ。

◇英離脱をめぐる日本企業の主な動き

▽大和証券グループ本社   独フランクフルトを軸に現法の設立検討

▽三井住友銀行       英国以外の現法設立を視野

▽損害保険ジャパン日本興亜 英国以外の現法設立を検討

▽みずほ銀行        オランダ現法の一部機能を強化

▽日産自動車        英工場での生産は当面継続

▽トヨタ自動車       英工場の設備更新に2億4000万ポンドを投資

(2017/03/30-18:06)

この記事の情報発信者

株式会社 時事通信社

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