都市圏めぐり競争激化=他県からも攻勢-地銀再編
関西を地盤とする関西アーバン銀行(大阪市)、みなと銀行(神戸市)、近畿大阪銀行(大阪市)の地方銀行3行が経営統合に踏み切る。人口減少、低金利の長期化で収益が圧迫される中、地銀再編は優良企業の多い都市圏に波及。多くの地銀は県境を越えて都市圏で攻勢を強めており、競争が激しさを増している。 「地銀を取り巻く環境は厳しい。従来の延長線上ではない戦略が必要だ」。関西アーバン銀、みなと銀を傘下に持つ三井住友銀行の幹部は3行統合の背景をこう説明し、危機感を示した。大阪府を中心とした関西の大都市圏では、三井住友銀といった大手行に加え、関西アーバン銀、池田泉州銀行など地銀4行がひしめき、収益拡大を競っている。 一方、人口減などを背景に地元で融資を伸ばせない地銀も大都市圏の営業を強化。山陰合同銀行(松江市)は3年間に関西での融資残高を1000億円以上増やした。紀陽銀行(和歌山市)なども大阪営業の強化を掲げ、「大都市圏の地銀は余裕がなくなっている」(有力地銀幹部)という。 金融庁、日銀は経営基盤の弱い地銀に、持続可能なビジネスモデルの構築を要請。これまでは、常陽銀行(水戸市)と足利ホールディングス(宇都宮市)のように、地銀同士が広域統合を目指すケースが多かった。ただ、福岡県、愛知県などの都市圏は、複数の地銀がしのぎを削る状況、「広域統合と並行し、都市圏での集約が進む可能性もある」(金融庁幹部)との見方が出ている。
◇地銀が3行以上ある都府県
【5行】 福岡県 福岡、筑邦、西日本シティ、北九州、福岡中央
【4行】 東京都 東京都民、東日本、東京スター、八千代 静岡県 静岡、スルガ、清水、静岡中央 大阪府 近畿大阪、池田泉州、関西アーバン、大正
【3行】 岩手県 岩手、東北、北日本 山形県 荘内、山形、きらやか 福島県 東邦、福島、大東 千葉県 千葉、千葉興業、京葉 新潟県 第四、北越、大光 富山県 北陸、富山、富山第一 愛知県 愛知、名古屋、中京 三重県 三重、百五、第三 長崎県 十八、親和、長崎 沖縄県 琉球、沖縄、沖縄海邦
(2017/03/03-20:19)
この記事の情報発信者
時事通信社は、日本の代表的な通信社として、速報性と専門性を兼ね備えたニュースを新聞社、放送局だけでなく、金融機関、官公庁、ポータルサイト向けなど、様々な分野に提供しています。