キャンペーン・お知らせ

【開催報告】「ホケンノミライ2026」セッションレポート

「ホケンノミライ2026」セッションレポート

2026年3月6日、GuardTechコミュニティは、東京都中央区のFinGATE KAYABAにて、年次カンファレンス「ホケンノミライ2026」をインスウオッチ社と共催で開催しました。

GuardTech検討コミュニティで読む →
目次
  1. 0.オープニング
  2. 1.保険業界ルネサンスの現在地 ―始まった変革と、まだ始まっていない未来
  3. 2.人間中心のAIは保険に何を取り戻すのか ― AI基本計画が照らす「判断・共感・責任」—
  4. 3.海外トレンドから考える国内保険におけるAI活用
  5. 4.募集コンプライアンス×AIエージェントのミライ ―A2A時代に問われる『信頼の境界線』―
  6. 5.結心会が描く金融×エンターテインメントのミライ
  7. 6.デジタルネイティブ世代が捉えるホケンとAIのミライ
  8. 7.原体験が社会を動かすとき ―当事者から生まれたソーシャルベンチャー/NPO―
  9. 8.日本の大学生のための保険アイデアコンペ「INID」
  10. 9.あたらしい保険をつくるハッカソン「ホケンノカタチ」
  11. 10.産学連携で創る「企業リスクマネジメント」のミライ
  12. 11.デジタル「マナビ」プレイス〜金融IT協会デジタル人材育成委員会の取り組み
  13. 12.フェムテックの保険会社事例&スタートアップピッチ
  14. 13.クロージングセッション
  15. 15.記念撮影、懇親会
  16. 16.「ホケンノミライ2026」開催概要

2026年3月6日、GuardTechコミュニティは、東京都中央区のFinGATE KAYABAにて、年次カンファレンス「ホケンノミライ2026」をインスウオッチ社と共催で開催しました。約180名の来場者を迎え、業界の最新トレンドや課題、そして未来の展望について深く掘り下げる1日となりました。

今回は、「ホケンノミライ2026」で実施された全セッションの内容を、当日の写真とともに振り返ります。
(写真の敬称は省略しています)



0.オープニング

株式会社CIENの毎床さんによる総合司会でイベントが開始されました。

毎床慶子(株式会社CIEN ディレクター)

冒頭、GuardTechコミュニティの温水さんから開会のあいさつがありました。6年前のコミュニティ立ち上げ以降不定期で開催していたオンライン勉強会の流れを汲み、2024年3月にフラッグシップカンファレンスとして「ホケンノミライ」を初開催。当初より金融庁が主催する「Japan Fintech Week」連携イベントとして今回が3回目の開催となることが報告されました。

温水淳一(GuardTechコミュニティ ファウンダー)

また、施設協力の平和不動産より、動画によるFinGATEブランドのご紹介がありました。


1.保険業界ルネサンスの現在地 ―始まった変革と、まだ始まっていない未来

本カンファレンスのオープニングセッションでは、保険業界における変革の現状と今後の方向性について議論が行われました。

モデレーターを務めるデータビズラボの永田さんは、本セッションの位置づけとして、保険業界が大きな転換期にある中で「何がすでに変わったのか」と「何がまだ変わっていないのか」を整理することの重要性を提示しました。また、約10年前に青木さんが示したInsurTechによる業界変化の予測を踏まえ、その“答え合わせ”を行う視点で議論を進めました。

永田ゆかり(データビズラボ株式会社 代表取締役社長)

EY ストラテジー アンド コンサルテングの青木さんは、10年前には予測できなかったレベルでデータ活用の高度化や生成AIの活用が進んでおり、保険業は単なるリスク移転から社会のリスク構造を設計・管理する役割へと変わりつつあると分析、中世の「ルネサンス」になぞらえて、単なる変革ではなく、ビジネスモデルそのものの再設計が社会から求められていると強調しました。
欧米と日本の保険産業の経済構造の違いに言及し、欧米がリスクを資本に転換するデータドリブン型ビジネスであるのに対し日本では顧客接点での信頼性を重視するセールスドリブン型ビジネスであり、これからは信頼力をベースに顧客データをうまく使うことがビジネスモデル変革の勝ち筋になると強調しました。

青木 計憲(EY ストラテジー アンド コンサルテング株式会社 金融保険セクター パートナー)

住友生命の岸さんは、保険会社のビジネスモデルそのものを変える取り組みはまだ試行段階にあると述べました。その背景には、長期契約を前提とした保険事業の特性や既存システム、組織文化などがあると説明しました。一方で今後は、保険会社が単に保障を提供する存在から、顧客の生活や健康を継続的に支えるサービスへと役割を広げていく可能性があり、その実現にはデータ活用や他業界との連携によるエコシステム型のビジネスが重要になるとの認識を示しました。

岸 和良(住友生命相互会社 エグゼクティブ・フェロー デジタル共創オフィサー)

セッションの終盤で永田さんは、今回の議論を踏まえ、保険業界は確かに変革の入り口に立っているものの、真のビジネスモデル転換はまだこれからであるとまとめました。10年前に描かれた未来は部分的に実現しつつあるが、現在はその過渡期にあり、今後の10年が業界のあり方を大きく左右する重要な期間になるとの認識が共有され、キーノートセッションは締めくくられました。


2.人間中心のAIは保険に何を取り戻すのか ― AI基本計画が照らす「判断・共感・責任」—

本セッションでは、生成AIの普及が進む中で、保険における顧客体験(CX)をどのように再設計すべきかについて議論が行われました。

モデレーターを務める&athの三保さんは、AIの導入によって保険の引受や支払、顧客対応といった業務の効率化が進んでいる一方で、それが生活者にとって納得できる体験になっているのかが問われていると問題提起しました。そのうえで、本セッションでは「人間中心のAI」という視点から、保険における価値の再定義を試みることがテーマであると提示しました。

三保 将司(株式会社&ath 代表取締役CEO)

博報堂DYホールディングスで最高AI責任者を務める森さんは、日本政府のAI基本計画の議論にも関わってきた立場から、「人間中心のAI」という考え方の本質について説明しました。AIは人間の判断を置き換えるものではなく、あくまで人間の意思決定を支援する存在であるべきであり、特に保険のように人生の重要な局面に関わる領域では、合理性だけではなく「納得感」や「共感」が不可欠であると述べました。そのうえで、AIが介在する保険CXを考える際には、「判断」「共感」「責任」という三つの軸で設計する必要があると整理しました。

さらに森さんは、AIの進化によって効率化が進むほど、人間の役割がより重要になると指摘しました。AIが提示する結果をそのまま受け入れるのではなく、人間がその判断をどのように解釈し、顧客にどのように説明するかが信頼の鍵になると述べました。また、AIの判断プロセスがブラックボックス化することで、顧客の不信感を招くリスクにも言及し、説明可能性や透明性の確保が不可欠であると強調しました。

森 正弥(株式会社博報堂DYホールディングス 執行役員CAIO(最高AI責任者))

保険業界のDX支援に携わるリードインクスの田口さんは、現場のDX支援の観点から、AI活用のリアルについて補足しました。生成AIの導入により業務の効率化は確実に進んでいるものの、顧客が求めているのは単なる迅速さではなく、自分の状況を理解したうえでの納得感のある対応であると述べました。そのため、AIによる情報整理や判断支援と、人間による最終判断や説明責任を組み合わせた設計が重要になると指摘しました。

田口 智章(リードインクス株式会社 カスタマーサクセス本部 DXコンサルティング部 部長)

セッション全体を通じて、AIは保険から人間性を奪うものではなく、むしろ人間の判断や共感、責任の重要性を再認識させる存在であるという視点が共有されました。今後の保険CXは、AIと人間の役割を適切に分担しながら、信頼と納得を両立する形で再構築していく必要があることが示されたセッションとなりました。


このセッションを企画されたリードインクス株式会社様のウェブメディアに、レポート記事が掲載されました👇


3.海外トレンドから考える国内保険におけるAI活用

本セッションでは、海外、特にシリコンバレーを中心とした保険業界におけるAI活用の最新動向を踏まえ、日本における活用の方向性について議論が行われました。

まず、Hokanグループの森田さんは、海外のカンファレンスや現地での一次情報をもとに、保険業界におけるAI活用が急速に進んでいる現状を紹介しました。特にシリコンバレーでは、スタートアップがAIを活用して特定領域の課題を解決する動きが活発であり、日本においてもこうした事例から学ぶ必要があると述べました。また、海外の情報を直接取りに行くことの重要性を強調しました。

森田 大地(株式会社Hokanグループ/株式会社CIEN マネージャー)

続いて、OdysseyAIのエリック・アルマドロネスさんは、「Global Insurance Overview」と第して、世界の保険業界におけるAI活用の潮流を紹介しました。AIが引受や保険金支払い、顧客対応など幅広い領域で活用され始めており、業務効率化だけでなく顧客体験の向上や新しいビジネスモデル創出につながっていると説明しました。また、スタートアップと既存保険会社の連携が今後の鍵になると述べました。
なお、エリックさんのスピーチは英語で行われ、リアルタイムで生成AIが日本語の字幕をスクリーンに投影する形で行われ、AIそのものがコミュニケーションを支える存在として体現されました。

エリック・アルマドロネス(OdysseyAI株式会社 Chief Executive Officer)

デロイトトーマツベンチャーサポートの山内さんは、生成AIの具体的な活用事例について整理しました。顧客対応の自動化や商品説明の高度化、社内業務の効率化など、すでに多くの領域で実装が進んでいる一方で、データ管理やガバナンスの重要性も高まっていると指摘しました。

山内 大世(デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社 インダストリー&ファンクション事業部 マネジャー)

セッション全体を通じて、海外ではAIを前提とした保険ビジネスへの転換が進んでおり、日本においてもその潮流を踏まえた実装とローカライズが求められるとの認識が共有されました。また、AIは単なる効率化ツールではなく、顧客体験やビジネスモデルそのものを変革する存在であるという点が強調されたセッションとなりました。


4.募集コンプライアンス×AIエージェントのミライ ―A2A時代に問われる『信頼の境界線』―

本セッションでは、AIエージェントの活用が進む中で、保険募集におけるコンプライアンスと責任のあり方について議論が行われました。

森・濱田松本法律事務所外国法共同事業パートナーの篠原弁護士の進行でセッションが開始され、まず篠原さんから、AIエージェント同士が情報をやり取りする「A2A(Agent to Agent)」の世界が現実になりつつある中で、従来の保険募集の枠組みでは整理しきれない論点が生まれているとの指摘があり、特に、どこまでが募集行為に該当するのか、誰が最終的な責任を負うのかといった「信頼の境界線」を明確にする必要があるとの問題提起がありました。

篠原 孝典(森・濱田松本法律事務所外国法共同事業 弁護士)

篠原さんの問題提起を受けてパネリストから活発な意見が交わされました。

ドコモ・インシュアランスの吉村さんは、代理店の立場からAI活用の可能性と課題を語りました。AIエージェントは顧客のニーズ整理や商品比較を支援し、より分かりやすい提案を実現できる一方で、最終的な説明責任や意思決定は人が担うべきであると述べました。AIに任せる領域と人が関与する領域を明確に切り分けることが、顧客との信頼関係を維持するうえで重要になると指摘しました。

吉村 忠義(株式会社ドコモ・インシュアランス 代表取締役社長)

Dyna.Aiの藤井さんは、技術の観点からA2A時代の保険募集の姿を説明しました。AIエージェント同士が連携することで、顧客に対してより精度の高い提案が可能になるとしつつ、その前提としてAIの判断プロセスの透明性や説明可能性が不可欠であると述べました。顧客が納得できる形で情報を提示する仕組みがなければ、AI活用は信頼につながらないと強調しました。

藤井 秀樹(Dyna.Ai InsurTech AI エバンジェリスト)

OdysseyAIの金さんは、AIの設計とガバナンスの観点から発言しました。AIが関与するプロセスにおいては、意思決定のログやデータの管理を通じて責任の所在を明確にすることが重要であり、技術的な仕組みによって信頼性を担保する必要があると説明しました。また、AIの活用は単なる効率化ではなく、信頼を前提とした設計が求められると述べました。

金 燕春(OdysseyAI株式会社 Chief AI Officer)

セッション全体を通じて、AIエージェントの活用は保険募集の高度化につながる一方で、「どこまでをAIに任せ、どこからを人が担うのか」という境界線を明確にすることが不可欠であるとの認識が共有されました。
A2A時代における保険募集は、技術と制度の両面から信頼を再設計していく必要があることが示されたセッションとなりました。


5.結心会が描く金融×エンターテインメントのミライ

上野 直昭(一般社団法人保険健全化推進機構結心会 会長)

保険ビジネスの健全化を推進する保険代理店主体の全国組織「結心会」の会長を務める上野さんの単独講演となる本セッションでは保険・金融サービスにエンターテインメントの要素を取り入れることで新しい顧客体験を創出する可能性が語られました。

上野さんは冒頭から軽妙な語り口で会場の空気をつかみつつ、「保険は正しいことを言っていても面白くないと使ってもらえない」と指摘しました。AIやデジタル技術の導入は不可避である一方、それだけでは顧客の心は動かず、「使いたくなる理由=ワクワク」が必要だと強調しました。

具体例として、エンターテインメントと金融を融合させたサービスに触れながら、従来の金融が持つ“堅さ”を崩し、楽しみながら関わる体験へと変えていく発想の重要性を説明しました。特に「推し」やキャラクターといった要素を活用することで、これまで金融や保険に関心の薄かった層にも自然に接点をつくれる可能性があると述べました。

また上野さんは、保険は本来、人生に寄り添う価値のある仕組みであるにもかかわらず、その価値が十分に伝わっていない現状にも言及しました。その課題を解決するためには、機能や保障内容だけでなく、「体験としてどう届けるか」を再設計する必要があると語りました。

講演の終盤では、「保険ももっと楽しくていい」というメッセージを繰り返し、会場の共感と笑いを誘いながら締めくくりました。金融とエンターテインメントの融合によって、保険を“選ばれるサービス”へと進化させていく視点が示された講演となりました。


6.デジタルネイティブ世代が捉えるホケンとAIのミライ

本セッションでは、電通デジタルと明治安田生命が参画する「デジタルネイティブ世代×保険」プロジェクトでの取組み内容を踏まえ、デジタルネイティブ世代の視点から、保険とAIの関係性や今後の可能性について議論が行われました。モデレーターは電通デジタルの鎌田夏生さんが務め、明治安田生命の福島拓己さん、電通デジタルの工藤萌さんのデジタルネイティブ世代のお二人が登壇しました。

まず鎌田さんは、デジタルネイティブ世代にとってAIは特別な技術ではなく日常的に使うツールであるとしたうえで、その世代が保険をどのように捉えているのかを考えることが本セッションのテーマであると提示しました。

鎌田 夏生(株式会社電通デジタル トランスフォーメーションストラテジー部門 トランスフォーメーションストラテジー第3事業部)

明治安田生命の福島さんは、保険会社の立場からAI活用の可能性について語りました。従来の保険は複雑で理解しづらいという課題がある中で、AIを活用することで情報提供や手続きの簡素化が進み、顧客がより直感的に保険を理解できるようになる可能性があると述べました。また、個々の顧客に合わせたパーソナライズされた提案が実現すれば、保険がより身近で価値を感じられるサービスになると説明しました。

福島 拓己(明治安田生命保険相互会社 IT・デジタル戦略部 デジタル戦略推進G)

電通デジタルの工藤さんは、生活者視点から保険体験のあり方について言及しました。若い世代にとって保険は「必要だが遠い存在」であり、日常生活の中で接点が少ないと指摘しました。そのためAIを活用し、生活の中で自然にリスクに気づける仕組みや、必要なタイミングで情報が届く体験設計が重要になると述べました。また、保険を単なる契約ではなく、日常を支えるサービスとして再定義する必要があると語りました。

工藤 萌(株式会社電通デジタル エクスペリエンス&プロダクト部門 プロダクトプランニング事業部)

最後に鎌田さんは、AIの普及によって保険がより身近な存在へと変わる可能性がある一方で、分かりやすさや信頼性をどう確保するかが重要になるとまとめました。デジタルネイティブ世代の視点から、AIと保険の関係性を再考する示唆が示されたセッションとなりました。


7.原体験が社会を動かすとき ―当事者から生まれたソーシャルベンチャー/NPO―

本セッションでは、個人の原体験を起点に社会課題の解決に取り組む起業・NPO活動について議論が行われました。モデレーターはInterXの三輪功祐さんが務め、MiaLuceの久保とくみさん、BECAMEの渡邉恵理さんが登壇しました。

まず三輪さんは、社会課題の多くはデータや統計ではなく「個人の体験」から立ち上がるものであり、その原体験がどのように事業や活動へとつながっていくのかを掘り下げることが本セッションのテーマであると提示しました。

三輪 功祐(株式会社InterX 代表取締役CEO)

一般社団法人BECAMEの渡邉さんは、自身の原体験として、双子の娘を生後間もなく亡くし、その後も流産を経験したことを語りました。深い喪失感の中で「誰に相談していいか分からない」「同じ経験をした人にしか理解されない苦しみ」があり、孤立した状態に置かれたといいます。実際に、子どもを亡くした親に対する公的な支援や心理的ケアの仕組みがほとんど存在しない現実にも直面しました。こうした経験から、「同じ苦しみを抱える人に寄り添う場をつくりたい」と考え、当事者同士が支え合うコミュニティと伴走型支援を提供するBECAMEを立ち上げた経緯を語り、当事者の声を社会に届ける活動の意義や、個人の体験を社会課題として可視化していくことの重要性を強調しました。

渡邉 恵理(一般社団法人BECAME 代表理事)

続いてMiaLuceの久保さんは、自身と家族の病気をきっかけとした原体験について語りました。看護師として働く中で母親ががんを患い、その支えに向き合う中で、自身も悪性リンパ腫を発症します。患者本人、家族、医療従事者という三つの立場を経験する中で、医療現場では心理的・社会的な課題が十分にケアされていない現実に気づいたといいます。闘病中には孤独感や将来への不安、社会的役割の喪失といった苦しさを強く感じ、「同じ経験をする人を支えたい」という思いから、闘病者とその家族を支援するサービス開発に取り組むようになりました。
久保さんは、当事者であるからこそ見える課題やニーズがあり、それを具体的なサービスとして形にすることで社会に価値を提供できると説明しました。また、個人の経験を社会に開くことは容易ではないものの、それが他者の支えにつながる可能性があると語りました。

久保 とくみ(株式会社MiaLuce CEO)

セッションの終盤で三輪さんは、両者の話を踏まえ、原体験は単なる個人的な出来事にとどまらず、社会を動かす起点になり得るとまとめました。個人の経験を起点にした活動が共感を生み、周囲を巻き込みながら社会的な取り組みへと広がっていくプロセスこそが、これからの社会起業の重要な特徴であるとの認識が共有されました。


8.日本の大学生のための保険アイデアコンペ「INID」

本セッションでは、GuardTechコミュニティが支援する、日本の大学生を対象とした保険アイデアコンペ「INID(Insurance Ideathon)」について、第1回大会の振り返りと今後の展望が議論されました。
INID実行委員長を務める慶應義塾大学教授の柳瀬さんと、柳瀬ゼミに所属する学生で、昨年のINIDで最優秀賞を受賞しシンガポールで開催された世界大会に日本代表チームとして参加した加藤さん、堀さん、廣阪さんが登壇、INID実行委員会事務局を務めるモデレーターの佐野さんの進行でセッションが開始されました。

まず佐野さんは、本コンペが学生にとって保険を「自分ごと」として捉える機会を提供する場であると説明し、単なるアイデア創出にとどまらず、学びと実践を結びつける取り組みであると位置づけました。

佐野 日奈子(株式会社CIEN コンサルタント)

続いて学生メンバーからは、第1回大会への参加経験について語られました。

廣阪さんは、最優秀チームとして世界大会に参加した経験を踏まえ、INIDでの学びについて語りました。保険というテーマに向き合う中で、社会課題とビジネスを結びつけて考える視点が養われたと述べました。また、海外の学生との交流を通じて、自分たちのアイデアを客観的に見直す機会にもなり、グローバルな視点の重要性を実感したと振り返りました。

廣阪 海大(慶應義塾大学 商学部4年(柳瀬ゼミ所属))

堀さんは、チームでアイデアを作り上げるプロセスについて言及しました。異なる意見を持つメンバー同士で議論を重ねる中で、単なる思いつきではなく、実現可能性や社会的意義を意識した提案へと磨き上げていく必要があったと述べました。その過程で、保険の仕組みだけでなく、ユーザー視点や課題設定の重要性を学んだと語りました。

堀 朱里(慶應義塾大学 商学部4年(柳瀬ゼミ所属))

藤さんは、コンペを通じて得られた実践的な経験について説明しました。短期間でアイデアを形にする難しさを感じつつも、プレゼンテーションやフィードバックを通じて考えをブラッシュアップしていく経験が大きな成長につながったと述べました。また、普段の大学の授業では得られない実務に近い経験ができた点に価値を感じたと話しました。

加藤 優弥(慶應義塾大学 商学部4年(柳瀬ゼミ所属))

慶應義塾大学の柳瀬教授は、大学教育の観点からこの取り組みの意義について語りました。保険は社会にとって重要な仕組みである一方、学生にとっては身近に感じにくい分野でもあります。そのため、アイデアコンペという形式を通じて保険を社会課題の解決手段として考える機会を提供することに大きな教育的価値があると説明しました。また、第1回大会では学生たちが非常に独創的な発想で保険の新しい可能性を提案したと振り返りました。

柳瀬 典由(慶應義塾大学 商学部 教授)

セッションの最後には、第2回開催に向けて、より多くの学生が参加し、多様なアイデアが生まれる場として発展させていく方針が共有されました。INIDは、若い世代が保険の未来を考えると同時に、実践的な学びを得る場として、その意義が強調される内容となりました。

INID2026の参加応募を受付中です。※応募期限:2026年 4月6日(月)
募集要項やエントリー方法は以下の
INID公式ウェブサイトをご覧ください。


9.あたらしい保険をつくるハッカソン「ホケンノカタチ」

本セッションでは、昨年GuardTechコミュニティで企画・初開催された、保険の新しい形を創出するハッカソン「ホケンノカタチ」の取り組みと、その意義について紹介が行われました。モデレーターはリードインクスの平野里彩さんが務め、伊藤忠テクノソリューションズの駒場成美さん、明治大学の中林真理子さん、日本電気の畠中健介さんが登壇しました。

まず平野さんは、本ハッカソンがノーコード/ローコードを活用し、保険業界に新しい発想を持ち込む場として企画されたものであると説明しました。単なるアイデアコンテストではなく、実際にプロトタイプを作りながら保険の価値を再定義する点に特徴があると述べました。

平野 里彩(リードインクス株式会社 コーポレート本部 経営企画部)

伊藤忠テクノソリューションズの駒場さんは、第1回「ホケンノカタチ」参加者として最優秀賞を受賞した経験をもとに、ハッカソンの魅力について語りました。短期間でアイデアを形にする過程は難しさもある一方で、チームで議論を重ねながら新しい保険の形を具体化していくプロセスに大きな学びがあったと述べました。また、普段の業務では得られない視点や発想に触れられることが大きな価値であり、異なるバックグラウンドのメンバーと協働することで、自身の考えも広がったと振り返りました。

駒場 成美(伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 金融NEXT営業本部 金融NEXT企画部 AI推進課)

明治大学の中林さんは、前回「ホケンノカタチ」で審査委員を務めた立場から、ハッカソンで生まれるアイデアの特徴について説明しました。参加者は既存の枠組みにとらわれない自由な発想で保険を再定義しており、その中には実際の社会課題に結びつく可能性を持つ提案も多く見られたと述べました。また、保険を専門としない参加者の視点が新しい価値を生む点に、この取り組みの意義があると評価しました。

中林 真理子(明治大学商学部 専任教授)

実行委員の畠中さんは、ハッカソンの狙いとして、保険業界の外部も含めた多様な人材を巻き込み、新しい価値を共創することにあると説明しました。そのうえで、第2回開催に向けた新たな取り組みとして、1つ前のセッションで紹介された大学生向けアイデアコンペ「INID」との連携が検討されていることに言及しました。アイデア創出からプロトタイプ開発までを一連の流れとしてつなぐことで、より実践的かつ継続的に新しい保険を生み出すエコシステムの構築を目指すと述べました。

畠中 健介(日本電気株式会社 金融システム統括部 プロフェッショナル)

セッション全体を通じて、ハッカソンは単発のイベントではなく、多様な人材が協働しながら保険の未来を共創する場であり、今後はINIDとの連携を通じてその価値がさらに拡張していく可能性が示されました。

第2回「ホケンノカタチ」のエントリー受付は6月1日(月)より開始予定です。詳細については今後公式ウェブサイトに掲載予定です。
また、当ハッカソンの協賛企業も募集中です。公式ウェブサイトよりお申込いただくと実行委員会より折り返し詳細についてご説明いたします。

このセッションを企画されたリードインクス株式会社様のウェブメディアに、レポート記事が掲載されました👇

「ホケンノミライ2026」に当社経営企画部 平野が登壇しました  | LeadInX_News&Topics 2026年3月6日(金)、「ホケンノミライ2026」にて、「あたらしい保険をつくるハッカソン『ホケンノカタチ』」のPRセッ leadinx.co.jp

10.産学連携で創る「企業リスクマネジメント」のミライ

電通コーポレートワンの片山さんの進行でセッション開始。自然災害の激甚化や地政学リスクの高まり、サイバーリスクの拡大など、企業を取り巻くリスク環境が大きく変化する中で、企業リスクマネジメント(ERM)をどのように高度化していくべきかが議論されました。

片山 智弘(株式会社電通コーポレートワン 事業開発推進室 事業開発推進1部 ディレクター)

三菱重工業の増山さんは、企業リスクマネジメント実務の基本構造について説明しました。企業ではリスクを認知・評価したうえで、「回避」、「低減」、「移転」、「保有」といった複数の手法を組み合わせて対応していくことが基本となります。従来は保険手配が中心でしたが、近年は経営戦略や事業計画と連動したERMの重要性が高まっていると述べました。
これらの実務を担うリスクマネージャーは、単にリスク管理を担う担当者ではなく、事業部門、経営層、保険会社など外部の保険マーケットの情報をつなぐ「ハブ」として機能し、企業内部でのリスク認識を高めるとともに、外部の知見を経営判断に生かす役割を担うと説明しました。

増山 啓(三菱重工業株式会社 事業支援総括部 事業リスク管理部 リスクマネジャー CPCU)

東京経済大学の石田教授は、学術の視点から日本の保険・リスクマネジメント研究の現状を整理しました。不確実性の高いVUCA時代において企業リスクマネジメントの重要性は高まっているものの、日本では教育や研究の体系化が十分に進んでいないと指摘しました。海外では大学に専門学部が設置され、研究者と実務家が連携して人材育成を行う仕組みが整っている例も多いと紹介しました。
こうした現状を踏まえ、日本において企業リスクマネジメントを担う専門人材を育成するためには、大学、企業、学会が連携し、教育・研究・実務を結びつけた取り組みを進めていくことが重要だと強調しました。

石田 成則(東京経済大学 経営学部 教授)

損害保険事業総合研究所の金井田さんは、保険会社も従来型のリスクファイナンス手段としての保険商品の提供にとどまらず、防災・減災などリスクコントロールやレジリエンス向上に貢献する取り組みを強化し始めていると指摘しました。企業のリスクマネジメント高度化に対し、保険業界としてどのように価値を提供していくかが今後の重要なテーマになると述べました。

金井田 智久(公益財団法人損害保険事業総合研究所 学術振興特命部長 日本保険学会事務局長)

セッションの最後には、こうした課題に対応するため、企業リスクマネジメントの普及や人材育成を目的とした産学連携の枠組みづくりが必要であるとの認識が共有されました。今後は関連テーマのカンファレンス開催や産学連携コンソーシアムの設立などを通じて、企業リスクマネジメントの高度化に向けた取り組みを進めていく方針が示されました。

企業リスクマネジメントに関するカンファレンス開催やコンソーシアム設立については今後GuardTechコミュニティの公式noteよりご案内予定です。


11.デジタル「マナビ」プレイス〜金融IT協会デジタル人材育成委員会の取り組み

本セッションでは、金融IT協会(正式名称:特定非営利活動法人金融IT協会)が推進するデジタル人材育成の取り組みについて、実務に根ざした視点から紹介が行われました。登壇したのは、金融IT協会の岸和良さんと松下伶奈さんで、対談形式で議論が進められました。

岸さんはまず、金融業界におけるデジタル人材育成の課題について、「DXの必要性は理解されているが、現場で実際に動ける人材が不足している」点を指摘しました。特に、研修で知識を学んでも実務に活かせないケースが多く、学びと現場の間にギャップが存在していると述べました。そのため同協会では、単なる座学ではなく、実務に結びつく「マナビの場」を設計することを重視していると説明しました。

岸 和良(特定非営利活動法人金融IT協会 理事 デジタル人材育成委員長)

これを受けて松下さんは、具体的な取り組みとして展開している教育プログラムや検定制度について紹介しました。これらは段階的に学べる体系となっており、基礎知識の習得から実践的なスキルまでをカバーしています。また、受講者同士の対話やアウトプットを重視する設計となっており、単なる知識習得にとどまらず、実務での活用を意識した学習体験が提供されている点が特徴であると述べました。

さらに岸さんは、こうした取り組みの成果として、参加者の意識や行動が変化し、組織内でデジタル活用を推進する動きが生まれている点を挙げました。一方で、単発の研修ではなく継続的に学び続けられる仕組みづくりや、業界横断での人材育成の必要性も今後の課題として示しました。

松下 伶奈(特定非営利活動法人金融IT協会 検定WG事務局)

セッション全体を通じて、デジタル人材育成は単なる教育プログラムではなく、実務と結びついた「学びのコミュニティ」を形成することが重要であるという認識が共有されました。金融IT協会の取り組みは、業界全体で人材育成を進める新たなモデルとして、その意義と可能性を示す内容となりました。


12.フェムテックの保険会社事例&スタートアップピッチ

一般社団法人ウィメンズヘルス・イノベーション協会で理事を務める木村さんの、保険会社のフェムテックへの取組み状況に関する基調講演からセッションが始まりました。
保険業界20年以上のキャリアを持ち、フェムテック黎明期から100件以上の起業家支援に関わってきた木村さんは、現代女性の生涯月経回数が戦前の約10倍に激増しており、初潮の早まりと出産数の減少が原因で子宮・卵巣への負担は以前とは比較にならないほど高まっている「身体のリアル」に触れて保険会社はこれを踏まえた保険商品設計が求められると指摘。「単なる啓発ではなく、テクノロジーで女性の健康課題を解決する産業エコシステムの構築が不可欠」と説きました。

木村 恵(一般社団法人ウィメンズヘルス・イノベーション協会 理事)

続いて、保険業界との親和性が高い以下5社がピッチを行いました。

  1. パナソニック株式会社

  2. 株式会社ファミワン

  3. FUJIYAMA BRIDGE LAB株式会社

  4. 株式会社ヘルスアンドライツ

  5. vivola株式会社

図師 和彦(パナソニック株式会社 ビューティ・パーソナルケア事業部 ビジネスデザイン部 課長)
窪田 絢(パナソニック株式会社 ビューティ・パーソナルケア事業部 ビジネスデザイン部)
石川 勇介(株式会社ファミワン 代表取締役)
石岡 美来(FUJIYAMA BRIDGE LAB株式会社 プロダクトマネージャー)
吉川 雄司(株式会社ヘルスアンドライツ 代表取締役)
角田 夕香里(vivola株式会社 代表取締役CEO)

5社のピッチから、保険会社がもはや「リスクを引き受けて金銭を支払う存在」にとどまることはできず、フェムテックスタートアップと協創し、データを駆使して女性の健康とキャリアの自律を日常的にサポートする「ライフタイム・パートナー」への進化が問われていることが浮き彫りとなりました。木村さんは、女性特有の健康課題による経済損失が年間3.4兆円(経済産業省試算)に達することに触れ、「今動かなければ、機会損失を招く」と、近年は保険会社がフェムテックに積極的に取り組んでおり、保険領域の中核になりつつある、とまとめました。

登壇者全員で記念撮影

(2026.3.31追加)こちらのセッションの詳細については以下の記事をご覧ください。


13.クロージングセッション

「保険EXPO」開催について

丸山 陽平(株式会社セミナーインフォ 執行役員 事業統括)

セミナーインフォの丸山さんより、同社とグッドウェイ社の共催で本年7月23日(木)に大手町プレイスホールで初開催される「保険EXPO 2026」のご紹介がありました。
同イベントは、保険業界に特化した専門展示会としてGuardTechコミュニティも企画協力しており、保険会社や代理店に加え、InsurTech企業や関連サービスベンダーが一堂に会する場として位置づけられています。丸山さんは、業界内での情報交換や新たなビジネス機会の創出に加え、デジタル化やAI活用といったテーマに関する最新動向を直接体感できる点が大きな特徴であると説明しました。また、単なる展示にとどまらず、セミナーやネットワーキングの機会を通じて、参加者同士が実務的な知見を共有し、新たな連携を生み出す場となることを目指していると述べました。保険業界の変革が進む中で、こうしたリアルな交流の場の重要性が高まっていることを強調し、多くの関係者の参加を呼びかけました。

「保険EXPO2026」ではスポンサー(出展)企業を募集中です。詳細はこちらをご覧ください。

「ホケンノミライ」のアートディレクションについて

青木そのか(株式会社Hokanグループ 事業開発室 アートディレクター)

続いて「ホケンノミライ」のロゴデザインなどアートディレクションを手掛けるHokanグループの青木さんから、「ホケンノミライ」のビジュアルデザインについての興味深い解説がありました。
本イベントのビジュアルは、「保険の未来をポジティブに再定義する」というコンセプトのもとに設計されており、従来の保険に対する堅く閉じたイメージから脱却し、開かれた可能性や多様性を感じさせる表現を目指したと説明しました。具体的には、色彩やグラフィックを通じて柔らかさや親しみやすさを表現し、初めて参加する人でも心理的なハードルを感じにくいデザインを意識したと述べました。また、単なる装飾ではなく、イベント全体の体験価値を高める重要な要素としてアートディレクションを位置づけており、来場者の期待感や没入感を高める役割を担っている点も強調されました。

青木さんのアートディレクションによるGuardTechコミュニティ主催イベントの特設サイト
ホケンノミライ(2024年以降3月第1週金曜日年次開催)
保険代理店のミライ(2025年10月29日開催)
金融×エフェクチュエーションのミライ(2024年6月7日開催)


15.記念撮影、懇親会

すべてのセッションが終了し、参加者全員による写真撮影が和やかな雰囲気で行われました。

全員で記念撮影

引き続き、セッション終了後の会場で懇親会(AfterParty)が行われました。登壇者、参加者、運営スタッフとの間で名刺交換、ネットワーキングが行われ、「ホケンノミライ」についての活発な会話が交わされるなど盛会のうちにカンファレンスは終了しました。

慶應義塾大学4年生の加藤さんと堀さんが乾杯の挨拶
東京経済大学石田教授による中締めの挨拶

16.「ホケンノミライ2026」開催概要

▶イベント名:「ホケンノミライ2026」(特設サイトはこちら
▶開催日時:2026年3月6日(金)9:20 ~ 19:00
▶会場:FinGATE KAYABA(東京都中央区日本橋茅場町 1-8-1)
▶協賛:株式会社Hokanグループ株式会社Mico株式会社大和総研株式会社Protosure Japan株式会社セミナーインフォ一般社団法人共創デザイン総合研究所三井物産インシュアランス・ホールディングス株式会社
▶特別協力:平和不動産株式会社株式会社グッドウェイ
▶後援:一般社団法人ウィメンズヘルス・イノベーション協会一般社団法人UXインテリジェンス協会特定非営利活動法人金融IT協会一般社団法人金融データ活用推進協会一般社団法人オルタナティブデータ推進協議会、​一般社団法人不動産建設データ活用推進協会フィンテック養成コミュニティPlug and Play Japan株式会社一般社団法人匠和会
▶メディアパートナー:株式会社保険毎日新聞社株式会社新日本保険新聞社FinTech Journal企業代理店port
GuardTechコミュニティ有限会社インスウオッチ

次回「ホケンノミライ2027」は2027年3月5日(金)開催予定です。

引用元GuardTech検討コミュニティ

本記事は転載元の公式発表をもとに INSURANCE JOURNAL が掲載しています。掲載内容は公開時点の情報に基づきます。

関連記事

同じ出典の記事