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日本企業、欧州戦略を再構築へ=拠点分散の検討急ぐ-英国のEU離脱

2017/01/18 株式会社 時事通信社
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英国の欧州連合(EU)離脱問題をめぐり、英国がEU単一市場や関税同盟から脱退する「ハード・ブレグジット(強硬な離脱)」の現実味が増したことで、日本企業は欧州戦略の練り直しを迫られそうだ。英国からEU域内への輸出に高率の関税が課せられれば、同国に生産・販売拠点を置く企業にとっては競争上不利となる。日本企業は本格化する離脱交渉をにらみつつ、拠点分散化など対策の検討を急ぐ見通しだ。  単一市場脱退も辞さず、移民制限を優先させるメイ英首相の姿勢が明らかになった17日、同国に進出する日本企業からは「英国での事業は継続し、今後の動向を注意深く見守る」(トヨタ自動車)といった慎重なコメントが相次いだ。  英国とEUによる原則2年の離脱交渉が本格化するのはこれから。日本企業は「交渉が具体的にどのように進むかを見守りたい」(大手銀行)、「経済活動に影響が出ない形で関税を取り扱ってほしいが、現時点では何とも言えない」(電機大手)と述べるのが精いっぱいの様子だ。  足元では英国からの輸出に追い風となるポンド安が進んでおり、「進出する日本メーカーにとって悪い面だけではない」(工藤泰三日本郵船会長)との指摘もあり、昨年6月の英国民投票でEU離脱が決まった後も英国から拠点を移す動きは顕在化していない。  ただ、長期的には英国の経済活動の停滞は避けられないとの見方は多い。日本貿易振興機構(JETRO)が昨年12月に発表した欧州に進出する日系企業1000社へのアンケート調査では、将来有望な販売先として英国は前年の8位から11位に後退。英国に進出する製造業の4割弱がサプライチェーン(部品供給網)の見直しを、2割強が物流ルートの見直しを検討課題に挙げており、英国とEUにまたがる拠点網の再構築が進みそうだ。(2017/01/18-17:04)

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株式会社 時事通信社

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