革新機構、JDI支援に腐心=事業統合で救済色薄める
政府系ファンドの産業革新機構がジャパンディスプレイ(JDI)に750億円の追加支援を決めた。革新機構の投資は、競争力強化に向けた事業再編や技術革新が目的で、産業競争力強化法により不振企業の救済は認められていない。このため、有機EL(エレクトロルミネッセンス)の開発加速と事業統合を名目にして救済色を薄めることに腐心した。 革新機構は2012年のJDI発足時に2000億円を投じ、現在も約36%を出資する筆頭株主だ。JDIは今春以降、スマートフォン向け液晶の販売不振から資金繰りが厳しくなり、革新機構に支援を要請していた。しかし、経済産業省は「つなぎ融資とか赤字補填(ほてん)には動けない」との立場だった。革新機構がシャープへの出資に動いた際には救済と批判を受けた経緯もある。 そこで浮上したのが、同じく革新機構が筆頭株主の有機EL開発会社「JOLED(ジェイオーレッド)」(東京)との再編。革新機構が資金支援を行い、JDIがJOLEDを子会社化して事業統合で技術力を高め、先行する韓国勢に対抗するという戦略だ。 ただ、有機ELを既に量産化している韓国勢に追い付くのは容易ではない。液晶は中国、台湾勢が猛追し、価格競争が激しい。JDIの経営再生は正念場を迎えた。(2016/12/21-18:52)
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