介護保険「いつまで生きられるか」 ―さらなる負担増を議論―
介護保険「いつまで生きられるか」
―さらなる負担増を議論―
(全国保険医新聞2016年9月15日号 より)
介護保険サービスの自己負担増の検討が、年内に結論を得ることを目指して進められている。利用者・家族からは、サービス利用・生活できないと切実な声が上がっている。
要介護1・2切り捨て、2割負担拡大
厚労省は、給付範囲では、▽要介護1・2向けの掃除、調理・配膳等の生活援助サービスの保険外し▽福祉用具貸与・住宅改修サービスの保険外し▽介護・予防給付のさらなる地域支援事業化を、利用料負担では、▽2割負担の対象拡大▽利用料負担限度額の引き上げ(月額3万7,200円→4万4,000円)▽低所得者の施設入所(補足給付利用)に際して不動産(宅地)を国に担保として差し出す―などを提案している。さらに、保険料の支払年齢を40歳未満に拡大するよう検討を求めた。
月11万円負担増
「認知症の人と家族の会」は、8月31日、厚労相と社保審介護保険部会に、負担増と給付抑制に反対する要望書等を提出した。代表理事の高見国生氏は同部会の委員を務める。要望では先の15年度制度改定についての実態調査を示し、施設利用に際して補足給付から外れることで月11万3,000円、2割負担で月4万2,000円の負担増など深刻な事例を報告している。
歯科、看護等で受診抑制も
事例では、「年金では生活できずパートを始めた」、「貯金を取り崩し、食費も削っている」、これ以上の負担増では「(夫が)特養退所しかなくなる」など、生活水準低下にとどまらず、夫婦共倒れに至りかねない事態が挙げられている。歯科受診、訪問看護・リハビリ利用を半分にしたなど受診等を手控え、在宅介護を行う透析患者が自身の入院の不安を記すなど、QOLや命と健康に関わりかねないケースも出ている。
その他、祖母(要介護2)がデイケア利用を気兼ねして、息子が入浴介助をしているなど「介護離職ゼロ」とはかけ離れた実態が見受けられた。誰もが安心して受けられる介護制度の構築に向け、利用料負担軽減、公費拡充等に向けた検討が求められる。
以上
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