輸出拡大で景況感改善=米新政権の行方警戒-産業界
日銀が14日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、海外経済の回復による輸出拡大が要因となり、大企業製造業を中心に景況感が改善した。ただ、円安傾向が続いているものの、輸出好調が持続するかどうかは見極めにくく、先行き不安は根強い。特に来年1月に就任するトランプ次期米大統領の政権運営が見通せないことは、産業界が警戒を緩められない要因となっている。 機械や自動車などの分野では、好調な輸出が改善を後押しした。スマートフォン用部品を製造するアルプス電気は「中国メーカー向けの出荷が伸び、価格もしっかりしている」と説明。非鉄金属や石油製品は国際相場が上昇しており、「銅や亜鉛の価格が上がり、非鉄各社の業績には明らかにプラスだ」(西田計治日本鉱業協会会長)と歓迎する声が聞かれた。 先行きについては、年明け後に発足するトランプ新政権への注目度が高い。「減税とインフラ投資は米国経済の下支え要因になる」(三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長)と期待する声がある一方、トランプ氏が選挙期間中に主張を続けた米国第一主義を踏まえ、「今後は円高が進んでいくのではないか」(東ソーの山本寿宣社長)との懸念も上がる。 大手商社の首脳は「大統領就任演説で何を言うのか、当面の100日間に何をやるのかが読めない」と視界不良を嘆き、「(現在は)保守的にビジネスを行っている」と語った。(2016/12/15-17:15)
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