監査法人に外部の目=17年導入、統治指針原案-金融庁
金融庁は5日、東芝の不正会計を受けて、監査法人向けのガバナンス・コード(統治指針)創設を議論してきた有識者会議(座長・関哲夫みずほフィナンシャルグループ取締役)に指針原案を示し、了承された。監査法人に対し、外部人材を活用した経営監視組織の設置を促すのが柱。2017年から導入する。 指針に強制力はなく、業界の自主的な取り組みに委ねるが、新日本、トーマツ、あずさ、PwCあらたの四大監査法人は指針に基づき組織改革に踏み切るとみられる。国内上場の計約9割(時価総額ベース)の企業を監査しており、業界の模範的な役割を担うよう促す。 指針原案は5原則で構成。懐疑心の発揮など会計士に期待される役割に加えて、一般企業の取締役会に当たる組織や、経営をチェックする「監督・評価機関」の設置を促す。監査を現場任せにせず、不正を見逃すことのないよう規律の強化を求める。 監査法人は「パートナー」と呼ばれる幹部社員が多数で運営している。このため、「責任の所在があいまい」との批判もあり、組織的に責任を明確化する体制に改めてもらう。監視組織には、企業経営の経験者ら「外部の目」も取り入れるよう促し、規律の実効性を確保する。 原案は監査法人に対し、指針の適用状況や会計士の育成など監査業務の質の向上に向けた具体策などについて定期的に開示するよう要請。実行しない場合は理由の説明を求める。 ◇監査法人向け統治指針原案の骨子 一、監査の質向上へトップの姿勢明確化 一、社会の期待に応える「経営機関」設置 一、外部知見を活用する「監督・評価機関」設置 一、監査先企業の経営陣・監査役と深度ある議論 一、適用状況や具体的取り組みを定期開示(2016/12/06-08:00)
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