「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる 高度化にかかる着眼点」を踏まえた取組み状況のご報告
1.はじめに
当社は「人間愛・家族愛という不朽の原理に基づく相互扶助制度である生命保険を社会に広く普及し続けることで、お客さまから最も信頼され、社会、コミュニティから最も称賛される生命保険会社になる」ことをビジョン(将来像)としており、その実現のためにも、コンプライアンス・リスク管理態勢は重要な経営課題として認識しております。
当社では、過去に発生した金銭詐取等の不祥事案を踏まえて、これまでも全社員への倫理・コンプライアンス教育の徹底および不祥事案に対する未然・再発防止策をはじめ、より適切な業務運営を行うための取り組みを進めてまいりました。
2023 年2月、生命保険協会において、生命保険各社がお客さま一人ひとりと真摯に向き合い、社会的使命を果たし続けることを後押しするため、「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化にかかる着眼点(以下「着眼点」)」 が取りまとめられました。その後「着眼点」に関する各社の取組み状況や運用上の課題等について、アンケート等による確認が実施され、2024 年 4 月 19 日に「着眼点」の更新が行われたことから、今回は更新内容も踏まえた当社の取組み状況を公表します。
2.当社の主な取組み状況
1.コンプライアンス・リスク管理態勢
<着眼点の記載内容(生命保険協会より)>
「コンプライアンス・リスク管理態勢」は、各社の業務運営の基礎となる組織体制の構築や企業文化の形成等を指す。営業職員チャネルの特徴・強みであるお客さまとの強固な信頼関係に応え変わらぬ安心をお届けしていくためには、目指す理念や価値観の共有、実効的な統制策を遂行する強固な組織体制の構築等、健全なコンプライアンス・リスク管理態勢の整備・維持が求められる。 |
<これまでの当社の主な取組み>
① 経営陣の姿勢・主導的役割・昨年に引続き、コンプライアンス・プログラムにおいて「企業理念の浸透/継承、コンプライアンス意識の醸成」
を掲げ、当社にとってのコンプライアンスの位置づけ、社員に求められる行動・期待される行動、コンプライアンス・リスク管理の考え方について、経営陣から全社員に繰り返し、語りかけています。
・経営陣が課題として認識したトピックス等について、営業管理職を対象とする会議において、経営陣から直接メッセージを発信することでコンプライアンスの重要性を周知しています。
②営業組織における管理者(支社長、営業拠点長等)の役割
・営業管理職(営業本部長・支社長・所長)は各組織におけるコンプライアンス・リーダーとして、コンプライアンスに関する諸施策の遂行ならびにコンプライアンス教育の実施等、コンプライアンスを推進する役割を担っています。また、支社長会議等を通じて経営陣より指示・伝達された事項について、各組織の営業社員に対する浸透を図っています。
③より良い企業文化の形成に向けた取組み
・全社員向けアンケートにより企業文化の浸透度合いや職場環境上の課題などを定期的に吸い上げ、その結果を踏まえ、適宜、改善に向けた施策を実施しています。また、経営陣が支社を訪問して社員と意見交換を行うなど、風通しの良い風土の醸成および社員が自発的・有機的に協働し、お客さまにより高い付加価値を提供するための取組みを推進しています。
④三線管理態勢の構築
・三線管理(※)において 1 線の中に営業目標を持たない営業管理本部を設け、コンプライアンスに対する態勢整備・機能強化を図っています。また、1 線の活動確認および牽制機能等を担当する 2 線としてコンプライアンス部門/リスク管理部門、独立した立場で内部管理態勢の適切性および有効性について監査を行う 3 線として内部監査部門から成る態勢を構築しています。
・取締役会・監査役(会)はグループ外の社外取締役・社外監査役を含めた構成メンバーとなっており、社外からの客観的意見が反映される体制となっています。
(※)営業組織等の業務部門(1 線)、営業組織への牽制・支援等を担当するコンプライアンス部門・リスク管理部門(2線)、1 線・2 線に対する監査を担当する内部監査部門(3 線)から構成される態勢
2.コンプライアンス・リスクの評価
<着眼点の記載内容>
「コンプライアンス・リスクの評価」は、自社の事業における固有のリスクや、防止すべき不適正事象の影響度・頻度等について、適切に評価することを指す。それぞれのリスクに応じた適切な態勢を構築するコンプライアンス・リスク管理の考え方においては、各社にて営業職員チャネルの特徴や自社の特性等に応じたリスクの評価がなされることが求められる。 |
<これまでの当社の主な取組み>
・当社ビジネス上の特徴および内外の環境変化を踏まえ、取締役会で決議したコンプライアンス・プログラムを策定しています。また、コンプライアンス・プログラムの進捗状況については、取締役会および執行役員会に定期的に報告しています。
・プルデンシャルグループで共通した「コンプライアンス・リスク管理プログラム」の手法により、コンプライアンス・リスクの固有リスク・残存リスクを特定・評価します。また年次計画に基づき、テスティングやモニタリングを実施し、認識された課題に対してアクションプランを講じるなど、リスク低減に向けて PDCA サイクルを回しています。
・1 線・2 線の有する定量・定性データと不適正事象の相関分析等により支社のリスクアセスメントを行っており、結果はフィールド検査等に活用しています。
<今後の主な取り組み>
・ビジネスモデルリスクを検証する組織を社内に組成し、ビジネスモデルにおける投資斡旋等の金銭関連事案に関するリスクに対して、現在の態勢整備状況を評価したうえで、必要な対策を講じることにより、引き続き未然・再発防止の実効性を確保してまいります。
3.コンプライアンス・リスクに対するコントロールの整備・実施
<着眼点の記載内容>
「コンプライアンス・リスクに対するコントロールの整備・実施」は、統制環境やリスク評価にもとづく、コンプライアンス・リスク管理上の具体的な統制策に関する取組みを指す。営業職員チャネルにおける不適正行為の防止のためには、前述のリスク評価の結果も踏まえた強固な統制策の整備・実施が求められる。 |
<これまでの当社の主な取組み>
①業務ルールの明確化
・営業社員に求められる、あるいは許されない行為についてコンプライアンス・マニュアル、営業社員就業規則等に明記・周知をしています。
・新契約及び保全手続きにおいて完全キャッシュレス化により現金での取扱いは廃止としています。また、各種お客さま向けの帳票に、当社ではお客さまから現金や小切手をお預かりすることがない旨、及び個人名義口座に振り込んでいただくことはない旨を記載し、お客さまに対する注意喚起を図っています。
②教育・研修
・コンプライアンス教育の網羅性等について検証・全体整理を行い、その整理に基づいた教育を行っています。
・研修においては、守るべきルールの他、当社社員や金融機関社員として社会から期待されている・求められている行動についても触れ、教育を実施しています。
③人事・報酬(表彰)制度
・営業管理職(支社長・所長)の評価・報酬制度について、コンプライアンスの実効性等の管理業務に対する評価制度を導入し、営業業績に偏らない報酬・評価体系としています。
・営業社員の報酬・資格制度や表彰運営においては、コンプライアンスおよび継続率といった業務品質に関する基準を設けており、適正な評価・動機づけが行われる体系としています。
④営業職員の活動管理
・営業管理職は営業社員一人ひとりの活動状況等の定量実績と、面談等で得られる定性情報をあわせて、コミュニケーションをとりながら活動管理を行っています。
4.コンプライアンス・リスクのモニタリングおよび不適正事象の(予兆)把握時の対応
<着眼点の記載内容>
「コンプライアンス・リスクのモニタリング」は、自社におけるリスク評価やコントロールの状況を含む、自社のコンプライアンス・リスク管理態勢の整備・機能状況の監視を指す。新型コロナウイルス感染症の感染拡大やデジタライゼーションの進展等に伴うリモート環境下での活動機会の増加等、環境の変化によりリスクの状況や統制策の実効性等も変化しうるものであり、実効的なコンプライアンス・リスク管理態勢の維持のためには 、コントロールを通じて得られる不適正事象の予兆情報も含め、適切なモニタリングの実施が求められる 。 |
<これまでの当社の主な取組み>
①コンプライアンス・リスクのモニタリング
・コンプライアンスに関する現状把握と分析、課題の確認及び改善策の策定を行う会議において不適正事象の早期発見に向けた取組み状況や 1 線の施策の実施状況、および 2 線のモニタリング結果を共有する等、不適正事象の(予兆)把握の仕組みを構築しています。
・取引状況等に応じて、リスクベースで本社から直接お客さまに確認を行う体制を整備しています。
・機械学習によるリスク分析モデルを導入しており、継続的なリスクモニタリングの高度化を図っています。
②不適正事象の(予兆)把握時の対応
・営業組織で不適正が懸念される事象を把握した場合には、速やかに営業組織からコンプライアンス部門へ報告を行うとともに、コンプライアンス部門が直接事実確認を行う体制を整備しています。また、原因分析および現行施策の実効性を確認のうえ、コンプライアンス委員会等で協議し、必要に応じて施策の見直しや追加策の検討を行う等の PDCA サイクルを回しています。
・不適正事象に関する調査において、デジタルフォレンジックを活用する態勢を整備しています。
5.コミュニケーション
<着眼点の記載内容>
ここでいう「コミュニケーション」とは、必要な情報が適時適切に、社内外の関係者に伝達されるための管理態勢および日常業務における取組みを指す。社内環境等の要因によるコミュニケーションの不足は、不適正事象の抑止・発見の阻害要因ともなり得ることから、社内・社外(お客さまや各種ステークホルダー等)との適切なコミュニケーションが行われる環境や態勢を構築することが求められる 。 |
<これまでの当社の主な取組み>
①社内におけるコミュニケーション
・経営陣が支社を訪問して社員と意見交換を行うなど、風通しの良い風土の醸成に取り組むとともに、営業所において、企業文化・理念の浸透を図る機会を定期的に設けています。
・毎年実施しているコンプライアンスに関するアンケート調査で、不適正事象の抑止・発見の観点から支社・営業所におけるコミュニケーション状況を確認し、その結果をコンプライアンス委員会に報告しており、PDCA サイクルを回しています。
②社外とのコミュニケーション
・自社ホームページに金融犯罪に関する注意喚起を行うとともに、この他、お問い合わせ先としてコールセンターの電話番号やチャットでのお問い合わせ先、また、よくあるご質問(FAQ)を表示しています。
・毎年、お客さま宛に送付している「ご契約内容のお知らせ」に注意喚起チラシを同封し、不正な金銭の授受・投資斡旋等を禁止行為として明確化したうえで、お客さまに対しても広く注意喚起を行っています。
③内部通報制度
・「内部通報に関わる役員・社員のための行動基準」が策定され、通報者への不利益な取り扱いの禁止や情報漏洩の禁止などの通報者保護のほか、通報者や被通報者がとるべき行動や禁止事項が定められています。また、毎年、内部通報制度の理解と周知を促進するための研修を実施しています。
・内部通報窓口における受付件数等の運用実績を当社ホームページで公表しています。
6.監査
<着眼点の記載内容>
「監査」部門は、三線管理態勢において、営業組織等の業務部門(1線)・コンプライアンス部門(2線)のコンプライアンス・リスクに関する態勢や取組みが適正かつ有効に構築・実施されているかの検証を行い、改善につなげる役割を担っている。 営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢が実効的に整備されるにあたり、監査部門が営業職員チャネルの特性や自社を取り巻く環境等を理解し、役割を発揮していくことも求められる 。 |
<これまでの当社の主な取組み>
・支社・営業所に対する検査では、検査人として営業管理職および営業経験のある人材を一定数配置するとともに、準拠性に基づいた定量的な不備事象だけでなく、営業管理職の意識・知識・管理行動などの定性面も評価に含めた検査を実施しています。
・本社組織に対する監査では、全監査人の持株会社への兼務出向によるグループ各社との人材共有や外部採用を通じて、保険募集に係るリスクとコントロールに精通した人材を揃え、監査を効果的かつ効率的に行う体制を構築・運用しています。また、継続的モニタリングやリスクアセスメントを通じて、定性面の分析や、データ分析等に基づいた定量的な分析を行い、営業組織の課題を特定・把握し、リスクベースの監査を実施しています。今後も支社・営業所に対する検査への同行等を通じて、営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢が実効的に整備されているかについて、引き続きモニタリングを実施してまいります。
3.おわりに
お客さま本位の業務運営を通じて、当社ビジネスを健全に成長させていくためには、コンプライアンス・リスク管理態勢の一層の高度化に向けた不断の努力が必要であると認識しています。本「着眼点」も参考としながら、今後も定期的に振り返りを行い、当社が取組むコンプライアンスに関する施策が実効性をもって機能し続けるよう、PDCA サイクルを継続的に回してまいります。
企業理念やコンプライアンス意識を組織の隅々まで浸透させ企業文化として定着させるには、経営陣がその姿勢を示し続けることが重要と認識しており、全社員への発信やコミュニケーションを継続してまいります。
<着眼点の構成(生保協会資料より抜粋)>
以上
この記事の情報発信者