大久保三井住友トラストHD社長インタビュー詳報
2017/04/21
株式会社 時事通信社
大久保哲夫三井住友トラスト・ホールディングス社長とのインタビューの主なやりとりは次の通り。
-事業環境と経営課題について。
人手不足も含め、少子高齢化の具体的な影響が社会で顕在化してきた。金融面では、グローバルな低金利が当面継続する。従来のビジネスモデルを踏襲し、銀行がバランスシートをどんどん拡大しても収益が伸びる環境ではない。
-ビジネスモデルの総点検を進めているが。
信託銀行の経営統合から5年が経過した。顧客基盤強化などで収益面のシナジーは出たが、効果はもうピークアウトしている。コスト面ではまだポテンシャルが多少残っているが、全体的に見て、統合シナジーでこれからの成長を確保するのは難しい。今後は信託銀行として資産運用・管理業務に注力し、収益シェアを高めていく。社会構造の変化の中で、資産運用・管理のニーズが幅広くなっており、しっかり対応して伸ばしていく。時間はかかるが中期的な目線で取り組む。
バンキングは大変重要なビジネスなので、取引先法人の資金需要には応えていくが、バランスシート拡大は考えていない。今のボリュームの維持を前提に、中身を入れ替えて収益性、効率性を上げる。具体的には不動産ファイナンスや航空機ファイナンス、北米のハイブリッドローンなどだ。新たなリスクを取るのではなく、知見のある分野で伸ばせるものを伸ばす。住宅ローンなど個人向け融資も、バランスシート全体の3分の1くらいまで伸ばしたい。
-信託銀行本体から年金などの資産運用業務を切り出すことを検討しているが。
資産運用は信託銀行のコアな業務の一つで、伸ばしていく上で二つの観点がある。まずはフィデューシャリー・デューティー(受託者責任)。利益相反の管理強化で、運用を三井住友信託銀行から外し、グループ企業に移した方がいいのではないかという観点だ。もう一つは運用力を強化するため、信託銀という大きな組織の一事業のままの方がいいのか、グループ内の独立した組織で自由にやった方がいいのか。かなり具体的な検討はしている。1年も2年もかけず、なるべく早めに結論を出す。われわれのグループには信託銀本体と三井住友トラスト・アセットマネジメント(AM)、日興アセットマネジメントの3社がある。合計80兆円の運用残高だが、当面は100兆円を目指していきたい。
-統合する先は三井住友トラストAMか。
比較すると、日興アセットより本体の運用セクションとの距離は短い。
-2運用子会社の統合は考えていないか。
AM会社はそれぞれ特長を持った運用をしており、一緒にすればそれが失われてしまう、特長に対して顧客がついている面もある。グループのAM会社二つだけを取って、一緒にすることは考えていない。
-みずほフィナンシャルグループ(FG)と資産管理銀行の統合で基本合意した。他にも協力の幅を広げる可能性は。
みずほFGとは年金管理や証券代行の会社も設立しており、今回で(協力分野は)三つ目。資産管理は継続的なIT投資が必要な装置産業で、非常にスケールメリットが出る。メリットがある分野では、みずほFGに限らず、今後もいろんなチャンスがあれば(協力を)考えていきたい。ただ、年金管理、証券代行、資産管理と大所の体制はほぼできたと思っている。資産管理では、上を見れば米ステート・ストリートなどもあり、そこをどう目指すのかという課題も将来的にはある。(了)
-事業環境と経営課題について。
人手不足も含め、少子高齢化の具体的な影響が社会で顕在化してきた。金融面では、グローバルな低金利が当面継続する。従来のビジネスモデルを踏襲し、銀行がバランスシートをどんどん拡大しても収益が伸びる環境ではない。
-ビジネスモデルの総点検を進めているが。
信託銀行の経営統合から5年が経過した。顧客基盤強化などで収益面のシナジーは出たが、効果はもうピークアウトしている。コスト面ではまだポテンシャルが多少残っているが、全体的に見て、統合シナジーでこれからの成長を確保するのは難しい。今後は信託銀行として資産運用・管理業務に注力し、収益シェアを高めていく。社会構造の変化の中で、資産運用・管理のニーズが幅広くなっており、しっかり対応して伸ばしていく。時間はかかるが中期的な目線で取り組む。
バンキングは大変重要なビジネスなので、取引先法人の資金需要には応えていくが、バランスシート拡大は考えていない。今のボリュームの維持を前提に、中身を入れ替えて収益性、効率性を上げる。具体的には不動産ファイナンスや航空機ファイナンス、北米のハイブリッドローンなどだ。新たなリスクを取るのではなく、知見のある分野で伸ばせるものを伸ばす。住宅ローンなど個人向け融資も、バランスシート全体の3分の1くらいまで伸ばしたい。
-信託銀行本体から年金などの資産運用業務を切り出すことを検討しているが。
資産運用は信託銀行のコアな業務の一つで、伸ばしていく上で二つの観点がある。まずはフィデューシャリー・デューティー(受託者責任)。利益相反の管理強化で、運用を三井住友信託銀行から外し、グループ企業に移した方がいいのではないかという観点だ。もう一つは運用力を強化するため、信託銀という大きな組織の一事業のままの方がいいのか、グループ内の独立した組織で自由にやった方がいいのか。かなり具体的な検討はしている。1年も2年もかけず、なるべく早めに結論を出す。われわれのグループには信託銀本体と三井住友トラスト・アセットマネジメント(AM)、日興アセットマネジメントの3社がある。合計80兆円の運用残高だが、当面は100兆円を目指していきたい。
-統合する先は三井住友トラストAMか。
比較すると、日興アセットより本体の運用セクションとの距離は短い。
-2運用子会社の統合は考えていないか。
AM会社はそれぞれ特長を持った運用をしており、一緒にすればそれが失われてしまう、特長に対して顧客がついている面もある。グループのAM会社二つだけを取って、一緒にすることは考えていない。
-みずほフィナンシャルグループ(FG)と資産管理銀行の統合で基本合意した。他にも協力の幅を広げる可能性は。
みずほFGとは年金管理や証券代行の会社も設立しており、今回で(協力分野は)三つ目。資産管理は継続的なIT投資が必要な装置産業で、非常にスケールメリットが出る。メリットがある分野では、みずほFGに限らず、今後もいろんなチャンスがあれば(協力を)考えていきたい。ただ、年金管理、証券代行、資産管理と大所の体制はほぼできたと思っている。資産管理では、上を見れば米ステート・ストリートなどもあり、そこをどう目指すのかという課題も将来的にはある。(了)
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