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北尾SBI社長、地銀連携強化に意欲=地方創生支援へ1000億円ファンド

2017/04/12 株式会社 時事通信社
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 SBIホールディングス(HD)の北尾吉孝社長は11日、東京都内で講演し、1000億円規模の「地域銀行価値創造ファンド」新設を目指していると強調した上で、金融IT融合型「フィンテック」サービス導入支援などを通じ、地方創生に貢献できる地方銀行との連携を強化していく考えを示した。 
 グループの地銀連携ファンド設立は、2015年の「FinTechファンド」に続く第2弾。ガバナンス(企業統治)や価値向上が見込める地方銀行本体に出資する方針で、北尾社長は銀行の持ち合い株解消の受け皿にもなるとの見方を示した。その上で「資本と業務の非効率を解消し、(SBIグループ出資先の)フィンテックベンチャーのノウハウを実践的に導入できれば、地域金融機関に変革の渦が巻き起こる」と述べた。
 先行したFinTechファンドは、これまで大手銀行に加え、横浜銀行、足利銀行、池田泉州銀行、広島銀行、山陰合同銀行、伊予銀行、北洋銀行、京葉銀行など地方銀行・第二地方銀行計28行が出資。足元では、決済や資産管理、会計、融資、クラウドファンディング、人工知能(AI)、ブロックチェーン(デジタル台帳)など国内外45社のベンチャーに対し、投資実績は計265億円に上っている。
 北尾社長は、新たな投資先候補となる地銀へのノウハウ還元を視野に、「有力な要素技術を持つフィンテックベンチャーの新技術を活用した実証実験をどんどんやる」と意気込みを示した。
 具体的には、ブロックチェーン活用を視野に入れる、グループ独自の次世代型送金システム「内外為替一元化コンソーシアム(連合体)」の実用化に着手するほか、傘下の「SBIバーチャル・カレンシーズ(VC)」が運営する仮想通貨取引所の今夏開業を目指す。口座情報などを取得できるシステムの接続口であるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)開放をめぐっては、傘下の住信SBIネット銀行を通じて、「資産の管理や運用に関する技術開発ベンチャー10社程度と(接続を)予定している」(北尾社長)。
 この関連では、自動的に最適な資産構成を提案する「ロボアドバイザー」サービスを手掛けるウェルスナビと提携し、国内初となる少額資産運用サービス「お釣りでコツコツ投資」(仮称)を準備中という。
 北尾社長は、地方銀行を取り巻く経営環境について、「短期的にはマイナス金利で、中長期的にはフィンテックの存在感が増し、経営基盤が縮小衰退していく」との見方を示した。その上で、「地方のA銀行とB銀行が一緒になっても規模が大きくなるだけで本質的な収益性、効率性は改善しない」と述べるとともに、「テクノロジーの力で地域産業を巻き込みながら、地方から社会変革を起こしていくことは、地域経済活性化に必ず資する」と強調した。(了)

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株式会社 時事通信社

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