邦銀、「後押し」を期待=情報収集を強化-米金融規制見直し
米国のトランプ大統領が厳格な金融規制改革法(ドッド・フランク法)を抜本的に見直すよう指示した。米金融規制がどう変わるのかは依然、不透明な要素が多いものの、日本の大手銀行関係者からは「ビジネスがやりやすくなるかもしれない」などと、米国事業拡大への「後押し」を期待する声が上がる。 大手銀はともに、トランプ政権の政策運営に関する情報収集を強化。三井住友銀行が米州本部に特命チームを設置したほか、みずほフィナンシャルグループはワシントンに常駐職員を派遣する。三菱UFJフィナンシャル・グループも傘下のMUFGユニオンバンクなどを通じて、幅広く情報を集める。 金融危機の再発防止に主眼を置いた現在の規制は、毎年のストレステスト(健全性検査)実施や過度にリスクの高い金融取引の制限などで金融機関のビジネスにさまざまな影響を与えてきた。大統領の指示を受け、健全性審査などが見直されれば、「規制に対応するコストの低減が期待できる」(大手銀関係者)とみられ、プラスに働きそうだ。 ただ、ある大手銀首脳は「(トランプ氏は)『米国第一主義』を掲げている」と指摘。さらに「米国の金融機関向けに規制を緩和する一方で、外国銀行への規制を強化するようなケースも排除できない」などと警戒する。 日銀によるマイナス金利政策を背景に国内の収益環境が厳しさを増す中、大手銀は米国など海外で収益拡大を狙う。米国の事業展開に影響を及ぼす金融規制の見直しがどう進むのか、日本の金融界も強い関心を持って見守っている。(2017/02/06-19:02)
この記事の情報発信者
時事通信社は、日本の代表的な通信社として、速報性と専門性を兼ね備えたニュースを新聞社、放送局だけでなく、金融機関、官公庁、ポータルサイト向けなど、様々な分野に提供しています。