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ペアローン時代の 住宅ローン相談は変わるのか

ペアローン時代の 住宅ローン相談は変わるのか

住宅価格の高騰が続くなか、住宅ローンの組み方も変化しています。かつては夫婦のどちらか一人が契約する形が一般的でしたが、現在は共働き世帯を中心に、夫婦それぞれが住宅ローンを組む「ペアローン」が広がっています。一方で、ペアローンには以前から大きな課題がありました。

目次
  1. ペアローンが増えている理由
  2. ペアローンの弱点は「団信」だった
  3. 連生団信が変えた「夫婦で借りる」という選択
  4. メリットだけではない。説明しておきたい注意点
  5. 住宅ローン相談は「借りられるか」から「続けられるか」へ
  6. 参考資料

住宅価格の高騰が続くなか、住宅ローンの組み方も変化しています。かつては夫婦のどちらか一人が契約する形が一般的でしたが、現在は共働き世帯を中心に、夫婦それぞれが住宅ローンを組む「ペアローン」が広がっています。

一方で、ペアローンには以前から大きな課題がありました。通常の団体信用生命保険では、どちらか一方に万一のことがあっても、保障されるのはその人が契約したローンだけです。残された配偶者のローンは、そのまま返済を続けなければなりません。

「どちらか一方に万一があっても、夫婦二人分の住宅ローンを完済する」。その選択肢として登場したのが、ペアローン向けの連生団信です。

金融機関による取り扱いも増え始め、住宅ローン相談に携わるFPや保険募集人、住宅事業者にとって、押さえておきたいテーマの一つになっています。

ペアローンが増えている理由

ペアローンが広がっている背景には、住宅価格の上昇があります。建築資材価格や人件費の高騰、円安などが重なり、とりわけ首都圏では住宅取得に必要な資金が大きくなっています。

リクルートの「2024年 首都圏新築マンション契約者動向調査」によると、首都圏の新築マンション購入価格は平均6,629万円となり、2001年の調査開始以来、最高額を記録しました。

調査から見える購入世帯の実像
  • 既婚世帯の共働き比率は75%
  • 共働き世帯の56.3%が、世帯主と配偶者によるペアローンを利用
  • 世帯年収1,000万円以上の共働き世帯では、78.6%がペアローンを利用

ペアローンは、単に借入可能額を増やすための商品ではありません。夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる可能性があることや、住宅売却時の3,000万円特別控除を各自で適用できる場合があることも、選ばれる理由になっています。

ただし、夫婦二人の収入を前提に住宅を取得する以上、どちらか一方の収入が失われたときの影響は大きくなります。借入額の大きさだけでなく、万一の際に返済を継続できるかまで考える必要があります。

ペアローンの弱点は「団信」だった

ペアローンでは、夫婦がそれぞれ別の住宅ローン契約を結び、団信にも別々に加入します。そのため、従来型の団信では、自分が契約した住宅ローンしか保障されません。

従来型の団信

夫に万一のことがあった場合、夫が契約した住宅ローンは完済されますが、妻が契約した住宅ローンは残ります。

ペアローン連生団信

夫婦どちらかが死亡または所定の高度障害状態になった場合、夫婦二人分の住宅ローン残高が保障されます。

残された配偶者は、世帯収入が減った状態で自身のローン返済を続けなければなりません。子育てや生活費の負担がある世帯では、この問題が家計に与える影響は小さくありません。

連生団信が変えた「夫婦で借りる」という選択

連生団信では、夫婦のどちらか一方が死亡または所定の高度障害状態となった場合に、二人分の住宅ローン残高が保険金によって返済されます。

従来型の団信との大きな違いは、保障の対象が「本人のローン」だけで終わらず、「夫婦全体のローン」に広がることです。ペアローンの弱点とされてきた、残された配偶者の返済負担に対応できる仕組みといえます。

金融機関によっては、死亡・高度障害を保障する一般型のほか、がんと診断された場合の保障や、リビング・ニーズ特約を付加した商品も提供しています。

メリットだけではない。説明しておきたい注意点

金利が上乗せされる

連生団信は保障範囲が広い分、通常の団信より住宅ローン金利が上乗せされる場合があります。上乗せ幅は金融機関や保障内容によって異なります。

金利差が小さく見えても、返済期間が長く借入額が大きい住宅ローンでは、毎月返済額や総返済額への影響が積み重なります。保障内容だけでなく、追加負担も含めて比較する必要があります。

保険金による債務免除が課税対象になる可能性

見落としやすい税務上の注意点連生団信によって、自身が契約していた住宅ローンまで返済された場合、その債務免除部分が一時所得として扱われ、所得税の課税対象になる可能性があります。

例えば、夫の死亡によって妻自身の住宅ローン残高も返済された場合、妻の債務が免除された部分について税負担が生じる可能性があります。住宅ローンが完済されることだけを伝えるのではなく、その後に発生し得る税務上の影響まで含めて案内することが大切です。

実際の課税関係は契約形態や個別事情によって異なるため、必要に応じて税理士などの専門家への確認を促す必要があります。

住宅ローン相談は「借りられるか」から「続けられるか」へ

連生団信の登場によって、ペアローンの選択肢は広がりました。しかし、住宅ローン相談で本当に重要なのは、商品を紹介することではありません。

相談時には、少なくとも次の点を一緒に確認する必要があります。

  • なぜ単独ローンではなくペアローンを選ぶのか
  • どちらかの収入が減少した場合でも返済を続けられるか
  • 金利の上乗せに見合う保障内容か
  • 民間の生命保険との保障重複はないか
  • 税務上の影響まで理解できているか

ペアローンを利用する世帯のなかには、すでに死亡保険や就業不能保険に加入しているケースもあります。連生団信だけを単独で見るのではなく、既契約の保険や預貯金、勤務先の保障制度まで含めて考えることで、必要な保障と過剰な保障を整理できます。

住宅ローン相談に求められる役割は変わり始めています。

「いくら借りられるか」を示すだけではなく、収入が変化したときにも生活を維持できるか、万一の際に家族が住まいを守れるかまで確認する。連生団信は、住宅ローンを単なる資金調達ではなく、家計と保障を一体で考えるきっかけになる商品です。

夫婦で借りる選択が一般化するほど、相談者に必要なのは商品数の多さではなく、家計全体を見渡した説明です。住宅ローン、生命保険、税務を分断せずに整理できることが、これからの住宅ローン相談の質を左右します。

参考資料

  1. 株式会社リクルート「2024年 首都圏新築マンション契約者動向調査」
  2. りそな銀行「ペア団信」商品情報(原稿作成時点の情報)

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。商品内容、適用金利、保障条件、税務上の取り扱いは金融機関、契約内容、個別事情によって異なります。実際の契約に際しては、各金融機関や税務の専門家へご確認ください。

本記事は転載元の公式発表をもとに INSURANCE JOURNAL が掲載しています。掲載内容は公開時点の情報に基づきます。

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