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米国が狙う薬価制度の切り崩し ―TPPで皆保険の空洞化―

2017/01/16 全国保険医団体連合会
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米国が狙う薬価制度の切り崩し
―TPPで皆保険の空洞化―


(全国保険医新聞2016年12月15日号 より)

 

 米国はこれまで日本に対し、薬価制度の見直しを再三要求してきた。TPP発効の有無にかかわらず、米国企業よりに薬価制度が切り崩され、皆保険が形骸化する危険がある。


日米で「協議」、皆保険ターゲット
 TPP交渉と並行して行う日米二国間交渉で合意した「書簡」(いわゆるサイドレター)では、医薬品等の「附属書に関するあらゆる事項(関連する将来の保健制度を含む。)について協議する用意があることを確認する」として、「保健制度」イコール公的医療保険制度を協議の対象とすることに合意している。いつから何を協議するかは書いていないが、「協議する」という確約だけをさせられた形だ。米国には公的医療保険制度はメディケア、メディケイドしかなく、日本の国民皆保険制度がターゲットにされていることは明らかだ。
 さらに「書簡」では、「日本政府に対して助言や勧告」を行う目的で、「外国の関係者を含む全ての利害関係者」が、「政府の審議会等の会合に出席し」、「意見書を提出することを認める」ことも米国と約束している。
 日本政府は「TPP協定に関連して作成された文書(サイドレター)に従って着実に実施していく考え」を表明している。TPPを批准した後で、日米並行交渉で確約した内容を土台に交渉すればさらに譲歩を招くことになる。

 

高薬価維持、米国が要求

これまで米国通商代表部は、わが国の薬価制度に対して、①新薬の特許が切れても後発薬が発売されるまでの間は高薬価を維持する「新薬創出加算」の恒久化、②外国薬価が高くても日本の薬価が高くならないようにする外国平均価格調整ルールの見直し、③売り上げが増えてくれば当初の薬価を引き下げる市場拡大再算定の廃止などを要求してきた(表)。
 薬価制度の枠組み自体が変わらなくても、政府の裁量判断によって、米国政府の要求に沿う形で、薬価算定の仕組みが運用されるならば、実質的に薬価決定プロセスが変わることになる。
 さらに、外国企業が相手国の政府を訴えられるISDS条項の存在は、その発動を回避するため、政府の医療政策に萎縮効果が生じる可能性がある。
 米国の多国籍企業の影響力が今以上に強まり、国民皆保険制度が続いても、内側から壊され、空洞化することが懸念される。

 

以上

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