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トランプ政権に期待と不安=企業トップの17年展望

2017/01/06 株式会社 時事通信社
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経済界の新年祝賀会が5日、東京都内で相次いで開かれた。2017年を迎えた企業トップの関心は、20日に就任するトランプ次期米大統領に集中。円安・株高による国内景気の回復への期待とともに、新政権の具体的な施策が不透明として「米国の政策が今年最大のリスク要因」(野村ホールディングスの永井浩二グループ最高経営責任者)といった先行きへの警戒も聞かれた。  トランプ氏が打ち出しているインフラ投資拡大などの施策に対しては、「米経済が好況を呈し、世界経済を引っ張る」(三菱商事の垣内威彦社長)との期待が強い。西武ホールディングスの後藤高志社長は「日本企業と米国の関係は緊密であり続ける」と、対米投資拡大方針を示した。  一方、環太平洋連携協定(TPP)からの離脱や、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しなどトランプ氏が掲げる保護主義的な政策に対しては、「米国の物価上昇にもつながり、状況は変わってくる」(パナソニックの長栄周作会長)といった懸念も根強い。伊藤忠商事の岡藤正広社長やJFEスチールの柿木厚司社長は、リスク要因に米国と中国の関係を挙げた。   16年11月の米大統領選後の円安・株高で企業経営者のマインドは改善しており、17年の経済環境については「悪い材料がない」(NECの新野隆社長)などと楽観的な声が目立つ。ただ、為替相場に関しては「春先から中盤にかけ、天井にぶつかる」(みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長)と、急速に進んだ円安の反動への警戒感もくすぶる。  国内の個人消費回復は遅く、小売業界からは「財布のひもは固い。実質賃金が上がって初めて消費も上向く」(セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長)、「(株高で)多少戻ってきているのは事実だが、本格的な消費の回復ではない」(三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長)などと厳しい見方が相次いだ。

◇主な企業トップのコメント

テーマ=(1)トランプ氏の米大統領就任の影響(2)日本経済の展望

▽三越伊勢丹ホールディングス 大西洋社長 (1)ビジネスマンでいいところはあるが、今後反動は必ずある (2)本格的な消費の回復ではない。相当企業努力をしないと改善しない

▽野村ホールディングス 永井浩二グループ最高経営責任者 (1)政策が完全に見えず、リスク要因 (2)円安で在庫調整も進み、全般的に良好な状態

▽パナソニック 長栄周作会長 (1)どういう政策を打ってくるのか読めない (2)円安で輸出関連が好調になるだろうが、保護貿易はリスク

▽三井住友銀行 国部毅頭取 (1)経済・財政政策で米国の成長、インフレ期待が高まる (2)緩やかな回復基調。消費も期待できる環境になってきた

▽花王 沢田道隆社長 (1)世界経済をけん引するのは、トランプ新政権が原動力となる (2)日本は周りに左右されやすい。5月以降、先行き不透明感が強まるのでは

▽日立製作所 中西宏明会長 (1)どう変わるか分からないが、米国経済自体は悪くない (2)悲観はしていない、悪くないと思う

▽三菱商事 垣内威彦社長 (1)米経済が好況を呈すると、日本の輸出産業を中心に上向く可能性が高い (2)米国同様、日本も好調。1年ぐらい続く

▽三井物産 安永竜夫社長 (1)米国で行っているビジネスをもう一段ステップアップするチャンス (2)薄日が差している

▽日本生命保険 岡本国衛会長 (1)財政出動に期待しているが、外交などは不安要素 (2)後半は良くなる。円安で(業績を)押し上げ、設備投資も進むだろう

▽みずほフィナンシャルグループ 佐藤康博社長 (1)ドルがどんどん上がると世界経済にはマイナス (2)(為替相場は)春先から中盤にかけて天井がある

(2017/01/06-17:30)

この記事の情報発信者

株式会社 時事通信社

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