高島三井住友銀新頭取:経営効率向上を重視=インタビュー詳報
三井住友銀行の高島誠頭取はインタビューに応じ、今後の事業方針について「これから3~5年で重視するのは株主資本利益率(ROE)などのリターン。ここで日本の金融機関で一番になる」と語り、経営効率の向上に注力する考えを示した。主なやりとりは次の通り。 -抱負と目指す銀行像は。 三井住友銀行を名実ともに日本を代表する金融機関にする。国内で盤石の事業基盤をつくることに加え、アジアに重点を置いたグローバル金融機関になるのが一環した戦略だ。それを着実に、持続的に、スピーディーに進める。私は海外ビジネスに偏った経歴なので、海外業務に大きく戦略をシフトするのではないかという見方がある。成長の柱は海外だが、決して国内業務がどんどん小さくなるわけではない。国内にこそチャンスがある。競争の中で他行より少しでもリターンを上げていく。 -国内のどこにチャンスが。 少子高齢化や低金利の環境下で金融ニーズに応え、サービスの付加価値を高める。ここ数年の取り組みに磨きをかけたい。中小企業の事業承継や、資産管理型の運用ビジネスが有望だ。事業承継にはいち早く意識的に取り組んできた。資産管理型の運用ビジネスは、SMBC日興証券のネットワークも使って持続的に強化する。貯蓄から投資へのシフトは期待ほど進んでいないが、預かり資産を地道に増やしていけるよう腰を据えて取り組む。 -名実ともに世界一という話があったが、意識するのは業務純益か。 トップラインの業務純益には引き続きこだわるが、ここ数年でより重要なのはボトムラインだ。より高い健全性を求めるグローバルな金融規制に対応する。 -収益面で目指す水準は。 長い目では1兆円を超えるネットインカムをつくりだす金融機関になりたい。しかし、これから3~5年でより重視するのは株主資本利益率(ROE)などのリターンだ。ここで日本の金融機関で一番になる。規制環境の中では、どんどんバランスシートを大きくする戦略は相当慎重にやらないといけない。 -子会社の関西アーバン銀行、みなと銀行がりそなホールディングス(HD)傘下の近畿大阪銀行と経営統合するが、各行との関係は。 関西アーバン、みなとは子会社ではなくなるが、引き続き可能な限り支援していく。新たに中間持ち株会社の下に近畿大阪銀行もぶら下がるが、同じようにできる限り支援する。グローバルな金融ニーズへの対応では、りそなHDよりも我々の方がネットワークなどで有利だ。 -将来的に中間持ち株会社への出資比率を下げる可能性は。 あらゆる可能性は否定しないが、現時点でそういう(比率を下げる)考えはない。われわれは長く関西アーバン、みなと両行を通じて顧客と付き合ってきた。事情が変わったからといって(関係を)やめるわけにはいかない。コミュニティーや顧客との関係が商業銀行の原点だ。 -関西2行以外の地銀への出資比率を今後下げる可能性は。 政策投資目的の保有株式は目標をもって削減していく。個々の地銀との関係を検証する中で、持ち株を減らす地銀が出てくる可能性は否定しないが、ケース・バイ・ケースだ。必ずしも全ての地銀株を減らすわけではない。(2017/04/03-14:17)
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