融資継続で調整難航=担保設定、地銀が不信感-東芝
経営再建中の東芝が取引金融機関に要請した融資継続をめぐり、地方銀行などとの調整が難航している。東芝は大手行や地銀からの融資に、保有する上場企業株式や不動産を新たに担保として提供する案を示したが、地銀などは、東芝の度重なる決算延期に不信感を募らせ、反発を強めている。東芝の有利子負債は3月末で約1兆3000億円に上る見通しだ。 東芝は15日に開いた今年3度目の銀行説明会で、自らの信用力低下を踏まえ、東芝テックや東芝プラントシステム、ニューフレアテクノロジーなど約2200億円分の上場株式に、東京都府中市や横浜市などの主力工場の土地を加えた計約4000億円分の資産を担保に設定する考えを提示。工場などの建物も今後、担保に積み増すと説明した。 三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行のメインバンク3行は東芝の提案を受け入れる意向を示したが、地銀などは反発している。メインバンクなど大手行が別途設定した融資枠に、東芝が最大2兆円の企業価値があるとされる分社化後の半導体新会社株式を担保提供するとしたことが、「大手行を優遇したと地銀に受け取られた」(大手行幹部)という。 地銀サイドは「半導体新会社の売却ができた場合、借入金返済の順番はどうなるのか」と大手行との扱いの違いを警戒。一部の地銀などは融資継続に応じない姿勢を示している。 継続要請した融資の担保設定には、80を超えるすべての取引金融機関の了解が必要。東芝との取引から地銀などの離脱が相次げば、肩代わりをせざるを得ないメインバンクの負担は重くなる。東芝とメインバンクは支援継続の確保に向け、地銀などへの説得を続ける考えだ。 ◇東芝向け融資担保の内訳 ▽上場株式 2235億円 東芝テック、東芝プラントシステム、ニューフレアテクノロジー、 芝浦メカトロニクス、西芝電機、東芝機械、その他の上場会社株式 ▽不動産 1838億円 府中事業所、京浜事業所、同事業所西分工場、横浜事業所、 浜川崎事業所、深谷工場 ▽合計 4073億円 (2017/03/23-08:09)
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