統合後の戦略を聞く=関西アーバン銀行、近畿大阪銀行トップ
三井住友フィナンシャルグループ系列の関西アーバン銀行(大阪市)、みなと銀行(神戸市)、りそなホールディングス傘下の近畿大阪銀行(大阪市)は経営統合で基本合意した。このうち、合併を検討する関西アーバン銀と近畿大阪銀のトップに統合後の戦略を聞いた。 ◇大阪の店舗集約、早期に=関西アーバン銀の橋本和正頭取 -経営統合の狙いは。 大阪府と兵庫、滋賀両県に広がる店舗網を生かし、新しい金融サービスを提供する。1行ではできなかったことも、3行なら可能になる。りそなホールディングス、三井住友フィナンシャルグループの両方が持つノウハウやサービスの提供も新しい形でできるようになる。 -具体的には。 例えば企業の事業承継。相手先などの情報が自行内に限られていたが、今後、情報量は3倍以上になる。個人向けの投資信託の販売残高は3行合計で地銀トップだ。各行のノウハウを活用すれば、資産運用の新しいモデルになる。 -3行統合への道筋は。 金融の環境は厳しく、3行の調整に労力や時間を費やす余裕はない。統合に向けた課題を整理し、解決スケジュールを早期に示すことが大切だ。 近畿大阪銀行とは大阪府下で約40店舗が近接している。店舗の集約は顧客の意向を聞いた上で早くやりたい。そこで生じた力を新しいサービスに投入する。 -三井住友との関係が希薄化するのでは。 その不安はない。統合後もどのようなサポートを受けるか今後協議する。その一方で、りそなにはわれわれにない機能もある。顧客が便利になるなら積極的に採用したい。 ◇営業力を増強=近畿大阪銀の中前公志社長 -顧客のメリットは。 3行はシステムをりそなグループに一本化する方向で検討することで基本合意した。実現すれば顧客は3行の店舗で取引が可能になり、大変便利になる。企業もビジネスマッチングを通じ、より多くの会社と新規取引ができるようになる。 -関西アーバン銀行との合併は。 合併を前提に協議を始める。スピード感が大切だ。ただ先方のシステムを調べてみないと、合併するにしても、いつになるかは分からない。通常はどちらのシステムを採用するかの議論に時間を取られるが、われわれの方向性は決まっている。 -統合後の営業戦略は。 りそなのシステムに統合されれば、関西アーバンとみなとの両行でも印鑑が不要になり、ペーパーレス化も進む。事務効率化で浮いた人を営業担当に振り向けられる。 関西アーバン銀との合併が実現すれば、重複店舗の統廃合でさらに多くの営業人員が生まれる。こうした人材を関西最大の店舗ネットワークの中で生かしていく。 -特に強化する分野は。 信託や不動産取引だ。りそな銀行はこの分野に強みを持つ。関西アーバン銀も不動産関連の取引が多い。こうした特色を生かし、顧客サービスの向上につなげたい。(2017/03/22-17:07)
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