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米の入国禁止令に困惑=日本企業、警戒感強める

2017/02/01 株式会社 時事通信社
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イスラム圏7カ国の国民らを対象としたトランプ米大統領の一時入国禁止令に、日本の産業界も困惑を深めている。大統領令に伴う世界的な混乱や保護主義の高まりは、日本企業のビジネスにも少なからぬ影響を与える。各社は「予測不能で何が起こるか分からない」(キヤノンの田中稔三副社長)と、日本を攻撃対象にしかねないトランプ氏の今後の言動に警戒感を強めている。  日本航空は、大統領令で入国禁止とされイラクやシリアなど7カ国の出身者について、当面は米国行きの搭乗を断る方針。該当者に対しては、キャンセル料などを免除する。斉藤典和専務は「通商・外交面で世界経済の萎縮につながるリスクもある」と懸念する。  川崎汽船の鳥山幸夫常務執行役員は、保護主義台頭で貿易量が減少するだけでなく「物流で自主規制する動きが出てくるのでは」と案じる。富士フイルムホールディングスの吉沢勝取締役は、中国や日本からの米国輸出への影響を懸念し「生産拠点を変えるのは難しい。政府間の話し合いで影響が出ないようにしてほしい」と訴える。  一方、米国の警察向けに指紋認証システムを納入するNECの新野隆社長は「米での関連投資が増加すれば(業績に)プラスになる可能性もある」と指摘。日本企業には、トランプ政権によるインフラ投資や法人減税実施への期待感も依然として根強い。  ただ、31日の東京市場では、入国禁止令を批判した米司法省トップの解任が伝えられたのを機に円高が進み、日経平均株価が大幅に下落。日本企業の収益を大きく左右する為替相場も、トランプ氏の言動次第で一気に変動する不安定な状況となっている。  「トランプ政権の通商・安全保障政策が今年最大のリスク要因」。年初にこう予想した野村ホールディングスの永井浩二グループ最高経営責任者(CEO)の指摘が、大統領就任から10日余りで早くも現実になろうとしている。(2017/02/01-14:07)

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株式会社 時事通信社

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